~会報からのお届け1~
ボンジュール!
3月30日に発行された会報誌Bonjourより、ご寄稿いただいた原稿を少しずつご紹介していきます♪ ~会報からのお届け1~は新潟大学准教授 寺尾 仁氏からのご寄稿です。
「フランス人が研究するSaké」新潟大学准教授 寺尾 仁
フランスでも日本酒がブームです。日本からフランスへの清酒の輸出は2020年には2億円強、10年間で2.4倍を越えました。パリで開催される日本酒見本市「サロン・デュ・サケ」はコロナ禍前の2019年には3日間で5,000人を超える入場者を集めています。さらに地中海沿岸のカマルグと南東部の山間地ペリュサンでは酒の醸造もしています。
フランスの大学では日本酒の研究も進んでいます。ここで紹介するのは、若手地理学者のニコラ・ボーメールさんが書いた、そのものずばりの題名『Le Saké(酒)』と言う本です。著者は「日本に独特なもの」という副題を付けています。酒の何が独特だと考えているのでしょうか。まず穀物を原料としてデンプン→糖→アルコールという過程を、デンプン→糖と糖→アルコールという2つの変換を同時に行って作る飲物であり、かつ多くの国民に飲まれている飲物であること、神道の祭祀の一部となることで国民生活に深く根差した飲物であること、ワインは料理に合わせて選ばれるのに対して酒は酒に合わせて肴を選ぶことなどを挙げています。そして、いったん人気が落ちた酒の最近の復活を支えているのは、ワイン文化に親しんだ人たちだとも指摘しています。
この本は、日本とフランスでそれぞれ相手国の文化に関する優れた学術研究成果に対して贈られる賞「渋沢・クローデル賞」を2011年に受賞しています。
実は私は新潟・フランス協会会員を含む6名の友人といっしょにこの本の日本語訳を作っている最中です。春に出版されるので、今年の花見の席にぜひ持参してください。
※ニコラ・ボーメール『酒 日本に独特なもの』晃洋書房、2022年4月刊行予定

©Presses universitaires François-Rabelais
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