東京大学名誉教授・帝京大学経済学部長・元新潟大学教授・日仏会館常務理事・新潟・フランス協会理事 廣田 功 氏 より

廣田 功 氏

廣田 功 氏

2005年から僅か4年間の滞在であったが、協会の活動は僕にとって間違いなく新潟生活の最も重要な部分であった。単身赴任で週半分だけの滞在であったから、協会の活動がなければ、僕の先任者たちの多くと同じように、大学と宿舎の間を往復する程度の味気ない生活であったに違いない。ナントのビジネス・スクールからの留学生の受け入れが縁の協会との出逢いに始まり、2010年5月、ラ・フォル・ジュルネの際にガレットを焼き、また月末には樋口陽一日仏会館理事長夫妻に同行してきたことに至るまで、毎年忘れ難いたくさんの貴重な思い出がある。その1つ1つがそれぞれに思い出深く、それだけに「一番の思い出」を書くことは出来ない。しかし僕と協会との関わりは、何といっても「食」をめぐるものであったことを強調しておきたい。「食」を縁とした協会の人たちとの出会いと一緒にした「講座」、素晴らしい食材・食品の発見は、今も僕が誇れる「財産」である。2011年4月から、勤務先で「美食科学」なる講義の初代担当者を引き受けたが、これも協会での活動がなければあり得なかったことである。

 この協会の活動はバランスが取れており、全国の「日仏協会」にとってモデルである。強いて期待を言えば、次の2点である。まず、新潟大学への留学生などフランス人向けに、新潟側からの「発信」の活動を強めてほしい。さらに、フランス本国だけでなく、ケベック州やアフリカ諸国などの「フランス語圏」との交流にも視野を広げてほしい。

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